古代中国史を推して参る

春秋戦国が足りない

孫子兵法<兵聖>30話〜33話の感想

孫武は来るべき戦いに備え、呉軍に優れた武器を調達する為、高名な鍛治師・欧治子の元を訪ねました。
ところが近頃尊大さを増している闔閭は、それよりも自身のために最強の剣を一振り、欧治子に作らせることを強制してしまいます。
今までに作った剣を越えるものを作るのは並大抵ではありません。痺れを切らした佞臣の伯嚭はなんと欧治子本人を炉の中に投げ入れるよう命じます!
最強の剣を作るための言い伝えだそうですが…そんな馬鹿な〜!(それでも一応完成してしまうのですが...)

 

非道な行為で名剣を手に入れた闔閭を、太子の終累は群臣の前でこっぴどく非難します。しかし、逆に父王を怒らせて廃嫡になる始末…。世も末だ…。
終累太子が追放されてからは、何故か孫武伍子胥は…一気に老けてしまいました。

 

さらに越の討伐を巡っても孫武と闔閭の対立が続きます...。
終累に代わり太子となった夫差と伯嚭は、孫武が兵士達から崇拝されすぎているため、君主の言う事を聞かないと遠回しに讒言します。孫武はますます不利な立場に。

伍子胥も老いたのか、昔ほどの正義感と気概は無くなった様子で残念です。
このまま孫武はフェードアウトしてしまうのでしょうか。

 

もはや越との戦争も避けられず、両軍はついに激突。
越は若き王・勾践や、范蠡、文種など優秀な人材が揃っていますが、もちろん呉も負けられません。
押され撤退する越軍を追って、何やら足場の悪い道に案内されてしまう呉軍。これはフラグ…
そして、突如茂みから鋭利な竹(!)が矢のように飛んできました。何故竹。
突然の奇襲で呉軍が混乱する最中、闔閭に狙いを定めた矢が命中してしまいます…。
(竹じゃなくてよかったね)



今回、試聴した回↓
30話 伝説の刀匠
31話 私欲の果て
32話 国の大事
33話 運命の出陣

孫子兵法<兵聖>26話〜29話の感想

前回の続きから、謀叛を起こした夫概を討伐するべく姑蘇の城を攻める孫武達。
抜け道を利用して、城内の侵入に成功しました。
不意を突かれて慌てる夫概、そして孫武の前に立ちはだかる幼なじみの国無咎...。
ついに決着の時が!

 

彼らがどうなったのかは大事なネタバレになるので、割愛します。

 

国無咎の話を聞くと、孫武に対してかなり自尊心をこじらせていた模様…。
けれど、そんなに紫蘇が好きなら、まず彼女を大切にしろよ、と個人的に思いますね…。
何はともあれ、前半からずっと引きずってきた因縁パートは、これでひと段落というところでしょうか。

 

内乱を収めた闔閭は、更なる覇業に乗り出そうとするものの、
楚に勝った経験から、次第に慢心するようになります。
越王の見せかけの服従にもあっさり騙されてしまう始末。

 

近いうちの戦争に備えて、富国強兵を叶えたい孫武
しばしば傲慢な闔閭と、自分の利益のことしか考えない佞臣・伯嚭に手を焼きます。
そんな時、自分が呉に仕えているのをふと虚しく思うものの、
生まれ故郷の斉には帰らないと決めているようです。
流浪の詩人(?)虞夢が「私には家がないが、天下が私の家のようなものだ」と言う。
こういう哲学的な考え方は、古代中国らしいと思いますね。

今回、試聴した回↓
26話 決着の時
27話 絶えぬ野望
28話 水面下の争い
29話 墜落への歩み

孫子兵法<兵聖>21話〜25話の感想

念願の楚の都を手に入れた呉王闔閭が喜ぶのも束の間、国無咎の策によって、闔閭達は楚人の反感を煽るような行動をしてしまいます。
孫武は主君や臣下に楚人を刺激しないよう何度も忠告するのですが、皆さん聞く耳を持ちません。見ているこっちの胃が痛くなりそうです。

 

中でも楚の平王に親族を殺された伍子胥の怨みは凄まじく、「死屍に鞭打つ」という中国史の中でもなかなかインパクトあるエピソードを残しています。かつての同僚として、伍子胥の行いを激しく非難する楚の重臣、申包胥。この二人の因縁も、ドラマの孫武と国無咎に劣らず、深いものになっています。

 

やがて楚を助けるために隣国の秦が援軍を派遣するなど、呉にとってますます雲行きの怪しくなる中、これ以上都に留まるのは不利と判断した孫武、ついに呉軍は自国へと撤退を決断します。
そこで暗躍するのがいつもの国無咎。(いつまで邪魔するんだこの人)
孫武達に思わぬ知らせが届きます。
闔閭の弟、夫概の謀叛です。
まあ...それまでドラマ中を視聴していた人にとっては、なんら驚くことではないですけどね...。
夫概を討伐するべく、自分達が帰るはずの城に攻撃をかける闔閭。同じ呉軍同士で殺し合うのは、見ていてなんとも不毛な気持ちになりますね...。
ドラマ全話の半分以上進みましたが、ここでようやく越がストーリーに絡んできました。呉越戦争パートに入るにはまだ時間がかかりそうです...。

 

今回、試聴した回↓
21話 偽りの平和
22話 民衆の怒り
23話 愚行の末
24話 兄弟の謀反
25話 兵法の奥義

孫子兵法<兵聖>16話〜20話の感想

続く呉と楚の戦いの中で、孫武と国無咎の知恵比べが繰り広げられますが、
結局、孫武の方が一枚上手でした。

呉軍は敵を撃破し、次第に楚の都、郢に迫ります。

13話あたりから侵攻が始まっているので、ドラマとしてはかなり尺とってる感じがします。

 

ちなみに一連の戦いは、柏挙の戦いとも呼ばれており、

『春秋左氏伝』によると、楚軍を率いていたのは主に嚢瓦と沈尹戌だそうです。

史実の嚢瓦はドラマのように費無極の配下で無く、むしろ費無極よりも上の地位にいたようです。

 

郢を陥落させるために、あらゆる策で敵の士気を削いでゆく孫武

正面から攻めるのではなく、自軍の被害をできるだけ少なくする=戦わずして勝つ

というのはいかにも孫子らしいと言えます。

 

幼なじみの国無咎は相変わらず執念の人で、孫武と和解する気は全く無い模様()

 

郢を占領しても、まだまだ呉軍にとっては油断できないようです。
戦は勝って終わり、ではないのですね。無事、孫武達は呉に帰ることができるのでしょうか。

今回、試聴した回↓

16話 非人道的な策

17話 背水の陣

18話 決死の闘志

19話 無戦開場

20話 楚王の玉座

 

孫子兵法<兵聖>12〜15話の感想

晴れて呉王闔閭に仕えることになった孫武

前回、孫子兵法<兵聖>7〜11話の感想 - 古代中国史を推して参る

後宮女官の練兵で信頼を得て、

楚討伐の大将軍に抜擢されることになりました。

 

実際に戦争が始まると、

敵の行動を読み、奇策で裏をかく孫武に、楚の将軍達はまんまと翻弄されてしまいます。

そこで、このまま孫武の好き勝手にはさせまいと、

かつての親友、国無咎が裏で知略を発揮し、孫武の策を破ろうと試みます。

 

なるほど、ここでやっと国無咎が孫武のライバル役として生きてくるんですね。

本来なら国無咎も費無極のような奸臣ではなく、

もっと別の国の有力者に仕えた方が、斉にとって脅威になったような気がするのですが、当時では楚が大国だったのと、そもそも彼は物語で架空の人物ということなので、都合といえば都合なのでしょう。(身も蓋もない)

 

一方の呉にも、怪しげな文官が....伯嚭(はくひ)という、楚から亡命してきた人物です。

彼は呉王闔閭や将軍達の顔色を伺いながら、それとなく孫武の悪口を吹き込んでみたりします。

視聴者の好感度の悪さでは費無極と双璧になりそうですね(笑)

孫武は伯嚭の悪意に気がついているのか、ちゃんと対処法を考えているのか気になるところです。

 

ここまで観ていて思うのが、このドラマ、わりと登場人物の性格や役割がはっきりしている気がします。良い意味で単純明快といいますか。

個人的にもう少しアクの強い人物が出てくると面白いかなと...(大秦帝国の魏冉とか孔子春秋の陽虎みたいな)

 

話を戻すと15話までは、孫武と国無咎の知恵比べが続きます。

お互いのことを知っているからこその読み合いはなかなか熱い展開です。

 

今回、試聴した回↓

12話 栄誉の価値

13話 神のごとき采配

14話 呉と楚の猛将

15話 裏の裏

孫子兵法<兵聖>7〜11話の感想

前回から、色々あって斉国を離れることになった孫武、序盤の国無咎との青春や、紫蘇との恋の思い出に別れをつげ、ようやく歴史が動き出す流れになりました。

何かと名前は聞いたことのある伍子胥もこのタイミングで再登場します。

孫武はしばらく隠遁しながら、自身の兵法をまとめ執筆します。十三編と言っていたので、どうやらこれが孫子の兵法のようです。

おいおい、軍を率いての戦の経験がほとんど無いのに、兵法なんて執筆して大丈夫?

と思ったのは私だけではなかったようで。伍子胥が呉王闔閭に孫武を推薦した時も、孫子兵法の内容の素晴らしさは認めるものの、孫武の実戦能力に対しては半信半疑でした。

 

孫武は「自分の兵法に従えば、女だって戦える」と豪語しますが、それなら実際にやってみろ...ということで、結局孫武が自ら後宮の妃や侍女を練兵することになってしまいました。

ここのくだりは史記の孫氏呉起列伝から引用しているのですね。詳細を読んでみるとなかなかのバイオレンスです...。

 

www.weblio.jp

 

秦の商鞅も変法を行う際に、法を犯した貴族や公族を容赦なく処罰しました。商鞅の場合は深い怨みを買ってしまいましたが...

 

結果的に呉国の左司馬として認められた孫武、いよいよ伍子胥と一緒に呉国の勢力拡大に乗り出すのでしょうか。

 

ちなみにこのドラマをきっかけに海音寺潮五郎さんの「孫子」という小説を読んでみたくなりました。

孫子兵法<兵聖>1〜6話の感想

古代中国史が好きなオタクの独り言。

 

日本で中国の歴史物といえば三国志項羽と劉邦などが代表的ですが、
漫画キングダム等でようやく春秋戦国時代にも少しずつスポットが当たるようになりました。

 

春秋戦国の知名度でいうと、始皇帝孔子についで有名と思われるのが、

孫子兵法(彼を知り己を知れば、百戦あやうからず)を書いた「孫子」です。

ビジネス書などでよく見かけるので、ご存知の方も多いことでしょう。

 

孫子とは敬称であり、史記等では孫武という名前で伝えられています。

ですが、意外にも孫武に関する歴史書の記述は少なく、果たして実在した人物かどうかも確証はないそうです。

 

と、前置きはこの辺で…

今回、私が好きな古代中国エンタメを探していたら、

たまたまアマプラでみつけたのが、タイトルの孫子兵法(原題:兵聖)」というドラマです。

 

www.amazon.co.jp

 

最初の舞台は孫武の生まれ故郷でもある斉国。親同士が政敵にも関わらず、孫武とは互いに認め合った親友、国無咎との青春時代から始まります。

前述の通り、孫武自体の記録が少ないため、創作要素が多めに作られています。

初回で言うのもアレなのですが、国無咎もドラマでの架空の人物とか...細かいことを気にするとキリがないので、とりあえず春秋戦国の雰囲気を楽しむくらいで観賞することに。

 

序盤は燕晋に攻め込まれた斉がいかに窮地を切り抜けるか、

そして斉国内での権力争いがメインとなっているようです。

ところどころで才能の片鱗は見せるものの、孫武の活躍はそれほどでもなく、これからの抜擢が楽しみです。

 

個人的には晏嬰と景公に思い入れがあるのですが、景公のキャスティングにはちょっと不満があります...語ると長くなるので割愛(笑)

 

余談ですが、似たようなタイトルの孫子《兵法》大伝というのがあり、最初私はてっきり視聴できるのは

こちらの作品かと思っていました。どうやらまったく別もののようです(3話くらい見た後に気がつきました)